ビジネス変革の成功の鍵はDXとミドルマネジメント層にある
東京商工サーチによると、2024年の全国企業倒産件数は、10,006件で、11年ぶりに1万件を超したとのことです。主因は、「2024年は円安基調に乱高下が続き、物価上昇に歯止めがかからず、人手不足や最低賃金の引き上げなどで人件費も上昇し、幅広い分野でコストアップに見舞われた。また、コロナ禍の資金繰り支援で生じた過剰債務の解消が遅れ、企業収益に負担となって圧し掛かった。」と記しています。
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地球規模の気候変動やパンデミック、戦争、我が国では少子高齢化が急激に進む現代、何が起こっても不思議ではない不確実性の時代の中で、企業が生き残り持続可能な成長を維持するためには、スピード感あるビジネスの変革が不可欠です。かつては世界に冠たる大企業でさえも変革が思うように進まず、沈みゆく太陽と化してしまう昨今です。
私の経験からも大企業では経営トップをはじめ役員が過去の成功体験や保身、自己防衛本能?が邪魔をして、現場の意見に耳を傾けることもほとんどなく、経営の意思決定にも恐ろしく時間がかかります。ミドルマネジメント層も上役の顔色を窺いや機嫌をとりながら自らは、プレイングマネーとなり現場で汗を流しながら指揮を執り、実務をこなす。そんな多忙なミドルマネジメントに変革のリーダーとしての責務を付加することは酷だと私は思います。中小企業にあってはなおさらのこと、人手不足の中で、一人のミドルマネージャーが複数の部門やプロジェクトを兼務していたり大忙しで、ビジネスの変革を考えることはもとより、部下の指導育成の時間的余裕すらないのが現状です。
中小企業に限定すれば、大企業ほど意思決定が遅くないことが優位となります。変革の成功の鍵は、経営トップが、まずは現場のミドルマネジメント層の現状を把握すること、その意見を真摯に受け止め、DXをスピード感をもって推進すること。経営トップの強い意思によるトップダウンによるミドルマネジメント層を巻き込み、ミドルマネジメント層を主体としたビジネス変革が重要です。まずは、世界に冠たる中小企業を目指しましょう。
とはいえ、社長からは果たして今の陣営でビジネス変革が本当に可能なのか、二の足を踏む方もおられます。
ミドルマネージャーは、戦略と実行の間、そして社内外の関係者との重要な結節点として機能しますが、その役割には多くの課題が伴うからです。
ミドルマネジメントの役割と課題
ミドルマネージャーは、経営陣の戦略を現場の実行に落とし込む役割を担っていますが、これまでの経験上以下のような障害に直面することが多いです。
- 役割のあいまいさ
ミドルマネージャーは、上層部からの指示と部下からの期待の間で板挟みになりがちです。このため、自分の役割を明確に理解できず、効果的に行動することが難しくなります。 - リソース不足
多くのミドルマネージャーは、変革を推進するための十分なリソースやサポート(教育等)を受けていないと感じています。これにより、ミドルマネージャーは変革の実行に必要なツールや情報を持たず、結果として変革が停滞することがあります。 - コミュニケーションの断絶
上層部からの指示が不明確であったり、部下とのコミュニケーションが不足している場合、ミドルマネージャーは効果的に変革を推進することができません。ハーバード ビジネス レビューによると約70%のミドルマネージャーが、変革に対して部下からの抵抗を経験していると報告しています。
変革を阻害する要因
さらに、以下の要因がミドルマネジメントの障害を深刻化させています。
- 文化的な抵抗
組織文化が変革に対して抵抗を示す場合、ミドルマネージャーはその文化を打破するための力を持たず、変革が進まないことがあります。 - 過去の成功体験への固執
ミドルマネージャーが過去の成功体験に固執し、新しいアプローチを受け入れない場合、変革の進行が妨げられます。ミドルマネージャーは、既存のプロセスや構造を守ることに重点を置くあまり、革新を阻害することがあります。 - ストレスとバーンアウト(燃え尽き症候群)
変革のプレッシャーやリソース不足からくるストレスは、ミドルマネージャーのモチベーションやパフォーマンスに悪影響を及ぼし、結果として変革の成功率を低下させます。
ビジネスの変革に重要な6つのファクター
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- ミドルマネジメントのリーダーシップ
ビジネスの変革には強力なリーダーシップが必要です。リーダーは変革のビジョンを示し、組織全体を鼓舞する役割を果たします。リーダーシップが明確であれば、従業員は変革に対してよりオープンになり、積極的に参加するようになります。
ミドルマネジメント層には、役割定義を明確にし、経営管理や経営分析手法をはじめ経営に関する情報を研修や定例会議により伝授することが大切です。 - 文化の変革
企業文化は、変革の成否に大きな影響を与えます。オープンで協力的な文化を育むことで、従業員は新しいアイデアを提案しやすくなり、変革のプロセスが円滑に進むことが期待されます。文化の変革は時間がかかることがありますが、長期的には非常に重要です。 - テクノロジーの活用
テクノロジーはビジネスの変革を加速させる重要な要素です。新しい技術を導入することで、業務の効率化や新しいビジネスモデルの構築が可能になります。デジタルトランスフォーメーションは、企業が競争力を維持するための鍵となります。 - データドリブン(駆動)型の意思決定
データを活用した意思決定は、ビジネスの変革において不可欠です。市場のトレンドや顧客のニーズを分析することで、より効果的な戦略を立てることができます。データに基づくアプローチは、リスクを軽減し、成功の可能性を高めます。 - 顧客中心のアプローチ
顧客のニーズを理解し、それに応じたサービスや製品を提供することは、ビジネスの変革において非常に重要です。顧客中心のアプローチを採用することで、顧客満足度が向上し、ブランドの価値を高めることができます。 - 継続的な学習と適応
ビジネス環境は常に変化しています。そのため、企業は継続的に学び、適応する能力を持つことが求められます。ミドルマネジメント層をはじめ、従業員のスキルを向上させるための研修や教育プログラムを提供することは、変革を成功させるための重要な要素です。これにより、従業員自身の市場価値も向上し、モチベーションもアップすることでしょう。
まとめ
ビジネスの変革は、ミドルマネジメントのリーダーシップ、文化、テクノロジー、データ駆動型の意思決定、顧客中心のアプローチ、継続的な学習と適応など、さまざまな要素が相互に作用することで成功します。これらの要素を意識し、戦略的に取り組むことで、企業は変革を実現し、持続可能な成長を遂げることができるでしょう。
スピード感をもって変革を推進するためには、現場経験豊富なコンサルを導入するのが一番の近道です。是非お気軽にご相談ください。