採用難を3ヶ月で解消する唯一の方法とは?

コラム「今こそ、採用ブランドの確立を!」で提案しましたとおり、今や中小企業の死活問題といっても過言ではない、優秀人材の採用や既存優秀社員の定着率向上という課題です。しかし、採用ブランドの確立といわれても、理屈としては分かるが、「ライバル他社に対する自社の強みが見いだせない。」「どこから手をつけたらよいのか皆目見当もつかない。」「日常業務に追われてそれどころではない。」などの理由で一向に状況は変わらない、変えられない企業がほとんどではないでしょうか。
本稿では、3ヶ月間で採用ブランドの初期プロセスを完了し、早期に採用難を解消する具体策について述べたいと思います。

ターゲット分析

まずは、採用難の課題克服に向けての第一の手がかりとなるのは、求職者が応募企業を決めるときに何を重視して決めているかの分析です。

転職を決意した理由

大手転職サイトの複数社によるアンケート調査結果を調べてみると、転職理由の1位はやはり「給与が低い・昇給が見込めないから」です。次に、「やりがい・達成感を感じないから」「昇進・キャリアアップが望めないから」が続き、4位以下10位以内に「会社の将来性に不安があるから」「社内の雰囲気が悪いから・人間関係が悪いから」、「評価・人事制度に不満があるから」「残業・休日出勤など拘束時間が長いから」「テレワーク他、働き方に柔軟性がないから」「待遇(福利厚生等)が悪いから」といった理由がランクインしています。

採用ブランドの確立のためには、このような転職者の重視するポイントを押さえたうえで、自社の企業文化、価値観、職場環境、キャリアパスなど強みを特定し競合他社と比較して、提供できる独自のアドバンテージを強調します。競合他社との差別化ポイントがなかなか見出せないとおっしゃる場合には、自社に合ったストロングポイントを創出することで採用ブランドの確立を図ります。

自社分析

次に、自社の強みと弱みの分析が重要です。分析手法としては、SWOT分析が取り組みやすくて良いでしょう。

SWOT分析とは?

SWOT分析は、一つの正方形を4分割し、「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の 4 要素をそれぞれの領域に分類して整理するマトリクス表形式の分析手法です。

  • 上段には「強み」と「弱み」といった内部環境
  • 下段には「機会」と「脅威」といった外部環境
  • 左側にはプラス要因 (強み・機会)
  • 右側にはマイナス要因 (弱み・脅威)

また、各構成要素を掛け合わせて戦略の方向性を定めるのが、クロスSWOT分析です。これにより、次のようなポイントを見出すことができます。

  • 強み×機会: 自社の強みをどうやってビジネスチャンスに活かすか (積極化戦略)
  • 強み×脅威: 自社の強みを用いて、どうやって脅威を避けるか (差別化戦略)
  • 弱み×機会: ビジネスチャンスを得るために、どの自社の弱みを改善すべきか (改善戦略)
  • 弱み×脅威: 脅威を最小限に抑えるためにはどうすればいいのか (防衛、撤退)

SWOT分析の例

ストロングポイントの創出事例

以下、ストロングポイントとなりうるキーワードを箇条書きしますので、参考としていただければ幸いです。

  • 「給与・昇給」「評価・人事制度」の優位性
    • 組織に貢献した社員が報われる、透明性・公平感・納得感が高い、人事評価制度を再構築すると共に、評価に連動した給与・賞与制度に見直しを実施します。
    • 総人件費をそのままに、評価によるメリハリをつけた給与・年収アップダウン制度(ローパフォーマンス・問題児対策としても機能)
    • 退職金規程の制定・見直し
  • 「やりがい・達成感」の優位性
    • 仕事の醍醐味・やりがいの言語化
    • 自己申告制度
    • 表彰制度
    • プロジェクトメンバーの公募制度や社内FA(Free Agent)制度
  • 「昇進・キャリアパス」の優位性
    • キャリア形成支援制度
    • 教育体系の整備
    • 自己申告制度の導入・ブラッシュアップ
    • 昇降格制度
  • 企業の将来性の優位性
    • 当該業種・業界の将来性分析
    • 中長期経営計画の策定
    • 戦略マップの作成
    • BSCなどによる各事業計画の策定・下位組織へのブレークダウン
    • 新規事業への取り組み
  • 「社員教育」の優位性
    • 教育体系の整備
    • 自己啓発支援制度
    • 資格取得支援制度
    • 業務マニュアルの整備
  • 「社内の雰囲気・人間関係」の優位性
    • 経営理念(Mission、Vision、Value、Way)の浸透
    • 人的資本経営の推進
    • ミドルマネジメント層の研修・啓蒙
    • ビジネスコーチングの導入
    • コンプライアンス推進体制の確立
    • 経営層との車座
  • 「労働時間・休日」の優位性
    • 労働生産性の向上:業務プロセスの見直し・DX化・AI活用による残業時間の大幅削減
    • BPO(Business Process Outsourcing)
    • 年次有給休暇取得率向上、年間休日の増設
    • 時効となった年次有給休暇の病気理由休暇などへの振り替え制度
    • 誕生日休暇などの特別休暇の設定
  • 「働き方改革への取組」の優位性
    • 完全週休二日制
    • 半日・時間単位有給休暇制度
    • 残業の撲滅
    • フレックスタイム制度
    • リモートワーク制度(在宅手当を含む)
  • 「福利厚生」の優位性
    • 慶弔見舞金
    • 飲料やおやつ代の補助
    • 住宅手当
    • 契約保養所
    • 通勤手当の見直し

採用ブランド確立の大きなメリット

採用ブランドの確立は、特に中小企業にとって、様々な利点をもたらします。思い立ったら吉日、早期に着手し業績拡大への道筋をつけましょう。

弊社では人事のプロが、貴社の経営方針・事業特性に沿った「採用ブランドの確立」の初期プロセスを3ヶ月間という短期間かつリーズナブルな価格でご支援します。優秀な人材のロイヤリティを高め、定着率の向上を図ると共に、人材採用を優位に進めたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。会社様が受け入れやすい形で、施策を導入・ブラッシュアップすることにより採用ブランドを確立し、人材・人員計画を最短で成功に導きます。採用ブランドの確立はまた、同時に、企業価値向上、持続的成長へ大きく寄与することでしょう。