最低賃金引上げ
厚労省審議会は、最低賃金を全国平均50円引き上げ、全国平均1,054円で答申しました。
引き上げ額は過去最大で、ことし10月から適用される見通しです。
最低賃金はどう決められる?
毎年、厚生労働省の中央最低賃金審議会と各都道府県の審議会で議論されます。審議会は労働者を代表する委員(労働組合の役員等)、経営者を代表する委員(経営者団体の役員等)、中立的な立場の委員(学者や弁護士等)の三者で構成されます。
まず、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の答申を受け、各都道府県の審議会で審議し都道府県の労働局長が金額を決定します。
中小企業の対応策は?
中小企業の経営者も当然に社員の大幅な昇給・賞与の増額をしたいと思っています。ライバル他社より見劣りすれば社員の離職者の増加を招き、その補充もかつてないほど困難な状況になって来ています。
DXへの取り組み
引き続き価格転嫁の努力を継続するとともに、いよいよ中小企業においてもDXに取り組むことが企業存続の鍵となります。DX取り組みにより、3ム(ムリ、ムダ、ムラ)を排除し業務プロセスの全体最適を図ること。そしてIT化により生産性の大幅な向上を推進すること。これらによりこれまでアナログであった会社運営をデジタル化し、データドリブン経営への移行が急務です。
デジタルデータの活用
DX取り組みにより数値化されたデータを基にKPIを設定しKPI達成のための戦略を立案し進捗管理をしっかりと推進することでさらに企業価値の向上が見込めます。例えば「人的資本経営」の観点からKPIを設定します。人を大事にする会社運営が求められて来ていますので、この視点からの対策を講じていくこともとても有益です。
最低賃金の地域格差について
これまで地域手当額や転勤者家賃補助額を決めてきた経験上、都道府県による物価の格差は今でも厳然としてあると考えます。この格差の議論のなかで地方では自動車の所有が必須ということがありますが、住居費からすればそこまでの影響は少ないと考えられます。中央最低賃金審議会は、全国の地域をA~Cの3つのランクに分類し、A~Cのそれぞれについて引き上げ目安額を答申します。折衷案としてはこの3つのランクを2つにすることが恐らく現実的ではないかと思料します。
国の支援を求めたい
今年10月からは最低賃金の引き上げと並んで、社会保険の加入条件が51人以上の企業においても週20時間以上勤務する社員は社会保険に加入させる必要があります。会社は社会保険料のほぼ折半額を負担しなければいけなくなります。価格転嫁が極めて難しい以上、国からの補助金は必要不可欠ではないかと思います。裏金問題もうやむやにされていますが、そういった説明できない税金も沢山あるのでは勘ぐりたくなります。日本経済の将来を担うのはなっといっても日本の企業の99.7%を占める中小企業群なのですから。